ナップス社の調査が示した驚きの結果――日本全国の60歳以上の男性ライダー380名を対象に行われた調査で、シニアライダーの87.8%が「ソロツーリングを好む」と回答しました。この数字は、一見孤独を好むライダー像を想起させますが、その背後には深い理由が隠されています。本記事では、シニアライダーがソロツーリングを選ぶ背景や、彼らがバイクに乗る理由について探ります。
ソロツーリング派が9割を占める理由
自由を追求するライディングスタイル
ソロツーリングは、他人の予定やペースに左右されず、自分の好きな時間に好きな場所へ向かうことができる魅力があります。特にシニアライダーは、仕事や子育てといった制約から解放され、自分だけの時間を楽しむ傾向が強いと言えるでしょう。
「自分のペースで走れるのが何より」と語るライダーが多く、寄り道や休憩も自由自在。その日その場でルートを決める即興的な楽しみも、ソロツーリングならではです。
自然との一体感
シニアライダーがソロツーリングを好むもう一つの理由は、自然とのつながりを深く感じられる点です。バイクは車と違って外の景色や風をダイレクトに感じることができます。一人で走ることで自然の音や匂いを存分に味わい、旅そのものを五感で楽しむことができるのです。
シニアライダーがバイクに乗る理由
若い頃の夢の再挑戦
多くのシニアライダーは、若い頃に憧れていたバイクに改めて乗ることで青春時代の夢を追体験しています。仕事や家庭の事情で一時は諦めた趣味を、定年後に再開したり、初めて挑戦したりする人も少なくありません。「リターンライダー」という言葉が象徴するように、バイクは人生の再出発を象徴するアイテムとも言えるでしょう。
心の健康を保つ時間
バイクに乗ることは、ストレス解消や心のリフレッシュにつながります。一人の時間を持つことは、孤独感を恐れるのではなく、むしろ自分を見つめ直す貴重なひとときです。特にシニア世代にとっては、心身を整える手段としてのバイクの魅力が際立っています。
シニアライダーのこだわり
マナーへの自信
調査によれば、シニアライダーの8割以上が自身のバイクマナーに自信を持っています。経験を重ねたことで、安全運転や周囲への配慮が自然と身についているのでしょう。マナーが良いことは、ソロツーリングでの安全性を高める重要な要素でもあります。
愛車との特別な絆
興味深いデータとして、シニアライダーの半数以上が「バイクに話しかけることがある」と答えています。このことから、バイクが単なる移動手段ではなく、特別な存在であることがうかがえます。エンジン音や操作感を通じて、愛車と心を通わせる時間は、ライダーにとってかけがえのないものです。
シニアライダーと安全への意識
ライディング技術を再確認する意欲
調査では、シニアライダーの2人に1人が運転技術を再確認する「ライディングスクール」への参加を希望していることが分かりました。高齢者ドライバーの交通事故が社会問題となる中、バイク乗りたちの安全意識の高さが感じられます。バイクを楽しむには、安全が第一。経験を積んだライダーたちは、そこに妥協をしないようです。
体力への自信と不安
また、75%のシニアライダーが「バイクを起こす体力に自信がある」と回答しています。ただし、体力の衰えが気になる年代でもあるため、定期的な運動や体力維持への努力を怠らない人が多いのではないでしょうか。
ソロツーリングの魅力が示す新しいシニア像
シニアライダーがソロツーリングを好む背景には、自由を尊重し、自分自身と向き合う生き方が見え隠れします。「孤独を楽しむ」姿勢は、シニア世代にとってバイクライフを彩る大きなテーマとなっているようです。
バイクという趣味は、単なる移動手段を超えた「生きがい」となり得る存在です。シニアライダーたちの姿勢からは、人生を楽しむためのヒントがたくさん得られそうです。
バイクと共に迎えるツーリングシーズン。安全運転を心掛けながら、これからも自由と冒険を満喫するライダーたちが増えていくことでしょう。